紙と鉱質インク

これらのスケッチは明暗さまざまな心象を(そのとおり)写実した言語記録(紙と鉱質インク)です

紅葉

撮って出し。ずいぶん寒かった。

気晴らしに逍遥しているうちゆっくり夢想していく。

カメラを向けながら、沈黙のうちに自らを省みる。

木の幹から伸びる、か細い枝のように思考は広がる。なれば幹であるところの自分を偽装せず、忠実であらねばならない。キルケゴールで言うところの「直接性」と「反省」との中を泳ぎ回ってみる。

キルケゴールによれば、この世の利己的な利益のためではなく、恐れとおののきの内に新なるものに仕える、一切を神に委ねて絶対的に服従する、つまり<信仰する>ためにこそ「反省」を用いるべきだという。 神を敬う云々のキリスト教的信仰についてはさておき、 反省していく姿勢は見習いたい。ただ、彼も言うように反省の使い方には注意せねば。

もしもいま日本式クリスマスを見たら彼はどんな反応をするのだろう。帰り道の華やかなイルミネーションを見ながら、新しい夢想をはじめた。