紙と鉱質インク

これらのスケッチは明暗さまざまな心象を(そのとおり)写実した言語記録(紙と鉱質インク)です

【2018年E3】小島秀夫『デス・ストランディング』の最新トレーラーを考える

 【2019年】の記事はこちら↓

monpanache.hatenablog.com

 

というわけで、前回に引き続き公開されたトレーラーに沿って考えていきたいと思う。

DEATH STRANDING - Teaser Trailer – E3 2018 - 4K - YouTube

お馴染みの赤ん坊が親指を立てるところからはじまる。

黒タイツの謎の女性が初登場。彼女は敵対者を直接見ることができる一方、サムはできないが(カイラルアレルギー反応によって)感知することができるという。後ろのアームは赤ん坊のカプセルと連動して作動する探知機であることが前回の動画で判明したが、今回はこれを強調している。赤ん坊が入ったカプセルとつながるプラグの形に着目する(6:03)と、前々回のトレーラーのデルトロが用いたプラグの形をしておらず、左腹部あたり?に差し込んでいる。

女性の服飾にはFRAGILE EXPRESS HANDLED WITH LOVEと書かれている(4:59)。配達を担う組織の名前か?どうやら彼女はサムと同業者らしい。

謎の女性はサムを引き抜こうとするが、配送業に勤しむサムであった。前回のトレーラーではサムは敵の死体を運んでいたが(今回のプレイアブルでは担いでいる)、運べるものなら特に限りはないようだ。

今回の動画で、追尾してくれるポットのようなものや、クレータ―に落ちていく二輪車のようなものが確認できる。こうしたメカニクスは自作なのか、あるいは前回の動画に登場したBRIDGESという組織から支給されたものなのか。おそらく後者と思われる。

サムが持ち歩く荷物は膨大で、これらは配達物であるようだ。今回の動画はサムの散歩あるいは配達に勤しむ姿が長回しで映されている。機械だけでなく、人間が運ぶことは敵対者に襲撃されるリスクがある仕事だが、前回の動画の横転した車両を見るに、おそらく地形変化などに機械がうまく対応できないのかもしれない。あるいはGPSが作動しないとか?

動画では今まで登場した灰色の防護服を着たサムと、新しく青色の防護服を着たサムが登場する。青色の防護服を着たサムはその容姿からして老けて見え、彼がいる世界の地表の様子は、緑に覆われ、ある程度大きな川も流れていて、鳥のような生き物も確認できるくらいには平穏に見える。

また青色の防護服を着たサムの左足についている輪状の形の手綱のようなものがある。謎の女性の太ももの付け根にも似たものがついていることが確認できるが、引きちぎられたような跡がある(5:13)。また青色の防護服を着たサムはマッツさんと同じようなボシェットを着用しており、赤ん坊のカプセルをもっている(3:03)が、灰色の防護服を着たサムはもっていない。

小島秀夫さんは以前のIGNインタビューで雨が時間を進めてしまうもの(timefall=時雨)であると語っており、ノーマンの皮膚に落ちた水滴の部分だけ老化していく描写や雨が降ると植物が急成長しやがて枯れてしまう描写など、今回の動画はこれを強調している。

「違う世界の雨なので、この世界の人間にあたると、(当たった)瞬間だけ時間が進むんです。一回当たって地面に流れると普通の水になります。空中にある別の世界の雨が、この世界の物に当たった瞬間だけ時間が進みます」

この雨が別の世界から持ち込まれたものであり、現実世界と向こうの世界が作用し合っている。普通とは違う形のマルチプレイ要素?がここにあるように思える。

敵対者の接近によって、サムは鳥肌が経ち(よく見ると腕毛が逆立っている)アレルギー反応がおこり赤い発疹が右半身にでる(これもカイラルアレルギーの症状か?)。髪には霜がつき吐く息も白くなるほど、急激に周囲の気温が低下していることが分かる。また、敵対者の接近によってChiralium density(カイラル濃度)という濃度も増加するらしい。ウィキによれば、

キラリティー (chirality) は、3次元の図形や物体や現象が、その鏡像と重ね合わすことができない性質。掌性。

キラリティがあることをキラル (chiral) という。英語風の発音でカイラリティ、カイラルともいう。これらの語はギリシャ語で「手」を意味するχειρ (cheir) が語源である。

ということだが、詳細は不明。

サム自身と妻と娘と思わしき写真(0:50)について、サム以外の他の二人はどうしたのか。サムの過去が気になる。

最後に登場する写真の人物によく似た若い女性は、なぜかサムを一方的に知っているがそれはなぜか。サムは死に戻りを繰り返すうちに記憶を失っているのかもしれない。あるいは、この女性はタイムフォール等の影響でサムたちとは違い、若返ってしまうのかもしれない。小島秀夫さんは「時間が進みます」とだけ言っているし、必ずしも老化することだけを指すとは限らない。いずれにしろ、この世界の仕組みが二人の関係を引き裂いているようだ。

Cryptobiosis(クリプトビオシス。クマムシなどの一部の生物がある環境下で、活動を停止して無代謝状態になること)がタイムフォールに有効であることをサムに教える女性。直後にドヤ顔であの気持ち悪い昆虫のようなものを食べる。このCryptobiosisという無代謝状態は、一種の仮死状態であり外部からの影響(高温、高圧、低温、放射能汚染など)を受けにくくなるらしい。昆虫を食べることでサムはタイムフォールに対抗できる何らかの能力を得ているのかもしれない。ゲーム的文脈で言えばこれはバフや回復アイテムの一種といえそうだ。

会話の中で疑問点がいくつかある

So you have DOOMS like me.
What's your levels?

  • 謎の女性とサムはDOOMSという特殊な能力?を持っており、何らかのレベルがあるようだ。これは二人が共通して涙を流していることと関係があるのかもしれない(カイラルアレルギー)。涙を流しているのは今のところこの二人だけで、必ず片方の目から涙を流す。(非対称性)(追記)前回のトレーラーを確認すると仲間を救出しようとしたおっさんも敵対者の接近時に両目から交互に涙を流していた。

Sam;I've got the extinction factor,but I think you got me beat.

  • サムはextinction factor(絶滅因子)を持っているが、女性には及ばないという。extinction factorとは具体的に何を指すのか?

Sam, if one of those things eats you,it will trigger a voidout.
You'll come back, sure,but surrounding area will still be a crater.

  • 敵対者(BT)に捕食されるとvoidout(対消滅つまり前回の動画でいう爆発)が引き起こされ、なんとこの世界に帰ってこれるが周囲はクレーターになっていると言うのだ(プレイヤーは死ぬ直前ではなく、自分が死んだ直後の世界に戻る)。これは前回の動画の爆発的な光を放って敵対者に仲間が取り込まれることの説明と言えそうだ。ただし、前回の動画では仲間は死に怯え自殺を図ろうとしていた。これを見るに、死んだ世界に戻ってこれる能力はサムだけであるといえよう。(日本語版のトレーラーではサムは帰還者と呼ばれている)前回の動画に関するインタビューでも小島秀夫さんはこう語っていた。

「(ティザートレーラーでは)爆発の後、クレーターがあいてましたけど、(復活した後も)あれはあいたままです。普通のゲームはクレーターが出来る前に戻ります。ですので、プレイヤーによっては爆発しまくると、穴だらけになり、地形も大きく変わってしまいます」

インタビューで語っていた「生と死が一つのテーマになっているので、ゲームで死んだということをちゃんとわかって欲しいと思っています」ということの再確認ともいうべきセリフだ。

(追記)

  • (4:39)女性がサムと手をつなぐと、サムにも敵対者が見えるようになる?
  • 日本語版のトレーラーが公開されたので、翻訳をトレーラーに合わせた。
  • カニ成分が足りない。愛しのカニ
  • インタビュー動画で小島秀夫さんはこのゲームについて「戦って、敵を倒すことが目的ではない。世界を繋いでいくことが目的。とはいえ、シューティングが好きな人もいると思うので、そういうこともできるが、オススメできないしそういうゲームではないというのがプレイをしているとわかってくる仕組み」と語っている。

 

気づいたことがあれば追記したい。前回の記事↓ 

monpanache.hatenablog.com