紙と鉱質インク

これらのスケッチは明暗さまざまな心象を(そのとおり)写実した言語記録(紙と鉱質インク)です

『紙と鉱質インク』について

 

はじめに

皆様はじめまして。このたびは当ブログ「紙と鉱質インク」にご訪問いただきありがとうございます。このブログの管理をしているホワイトと申します。

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ブログについて

このブログは、もともと【サクラノ詩 ZYPRESSEN In Yumi Perspective】という記事を書くためだけにつくりました。この記事を置いておく場所が欲しかったのです。ただ、この記事だけではどうも寂しいような気がして、後日談みたいなもの?として、その後色々書いています。そうすれば、より多くの人にこの記事を目にしてもらえる機会を得られるからです。

それらは、個人で好きなことを好きな時に好きなだけ綴る、いわば日記のようなものです。つまり今これを読んでるあなたは、他人の日記を盗み見てるようなものですね。なんてエッチな人!

特にアフィリエイトで稼ごうと思ってやってるわけでもなく、個人で運営するものですから、制約や決まりも設けておりません。ただ一つ決めてるのは、その時々の心象をできるだけ誠実にスケッチすること。ブログの名に恥じぬものを書こうという意識でやっています。

なので、書くものがなくなれば、必然このブログはネットの海に沈みますし、あるいは、湧き出てくるものを必死になってスケッチする日々もあるかもしれません。ですので、まずは徒然なるままに、筆をとってみようと思います。

 

春と修羅』序

わたくしといふ現象は
假定かていされた有機交流電燈でんとう
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち、その電燈は失はれ)

これらは二十二箇月の
過去とかんずる方角から
紙と鑛質こうしつインクをつらね
(すべてわたくしと明滅し
 みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつゞけられた
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです

これらについて人や銀河や修羅や海膽うに
宇宙じんをたべ、または空気や塩水を呼吸しながら
それぞれ新鮮な本体論もかんがへませうが
それらも畢竟ひっきょうこゝろのひとつの風物です
たゞたしかに記録されたこれらのけしきは
記録されたそのとほりのこのけしきで
それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで
ある程度まではみんなに共通いたします
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
 みんなのおのおののなかのすべてですから)

けれどもこれら新世代沖積世の
巨大に明るい時間の集積のなかで
正しくうつされたはずのこれらのことばが
わづかその一點いってんにも均しい明暗のうちに
   (あるひは修羅の十億年)
すでにはやくもその組立や質をへん
しかもわたくしも印刷者も
それを変らないとして感ずることは
傾向としてはあり得ます
けだしわれわれがわれわれの感官や
風景や人物をかんずるやうに
そしてたゞ共通に感ずるだけであるやうに
記録や歴史、あるひは地史といふものも
それのいろいろの論料データといっしょに
(因果の時空的制約のもとに)
われわれがかんじてゐるのに過ぎません
おそらくこれから二千年もたったころは
それ相當そうとうのちがった地質學が流用され
相當そうとうした證據しょうこもまた次次過去から現出し
みんなは二千年ぐらゐ前には
青ぞらいっぱいの無色な孔雀が居たとおもひ
新進の大學士たちは気圏のいちばんの上層
きらびやかな氷窒素のあたりから
すてきな化石を發堀はっくつしたり
あるひは白堊紀砂岩はくあきさがんの層面に
透明な人類の巨大な足跡を
発見するかもしれません

すべてこれらの命題は
心象や時間それ自身の性質として
第四次延長のなかで主張されます

大正十三年一月廿日
宮沢賢治

更新情報

2016/07/17  投稿 
2016/08/29  更新(『賢治と桜』を追記。他、加筆修正)
2016/09/01  更新(PCで本記事を開くとBGMが流れるように変更、序文にルビを付与。他、加筆修正)
2016/09/18  更新(『はじめに』序文を追記。他、加筆修正)
2016/11/17  更新(表示順の関係により日付を変更。他、加筆修正)
2017/02/02  小節『紙と鉱質インク』部分がなぜか消えていることを確認。もう一度書き下ろすことはできないため、宮沢賢治春と修羅』序文で語りえたものとしたい。
2018-06-16 更新(『ブログについて』を追加。)